バッテリートラブル

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種別:宿泊施設

地域:大阪府

カテゴリー:法令点検・メンテナンス

サブカテゴリー:バッテリートラブル

概要:

もう動かない非常用発電機

前回に続き、今回も「動かなくなってしまった非常用発電機」の事例をご紹介します。 今回の現場では、過去のメンテナンス履歴が確認できず、すでに消防からも指摘が入っているなど、非常に危険な状態でした。

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交換期限を大幅に超過したバッテリー

バッテリーの交換目安は、メーカー推奨で「製造から3~5年」とされています。 今回使用されていたバッテリーは2016年製で、本来であれば2021年頃に交換が必要でしたが、約5年間交換されないまま放置されていました。

内部のバッテリー液には複数の浮遊物が確認され、濃度・電圧を測定した結果、通電しておらず非常用発電機の始動は不可能な状態であることが判明しました。

また、あわせてバッテリー充電基板の故障も確認されたため、こちらも同時に交換を行う予定です。

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バッテリー変形とサルフェーションの発生

バッテリー本体は明らかに変形しており、内部には「サルフェーション」と呼ばれる硫酸鉛の結晶が付着していました。 サルフェーションは、時間の経過とともに電極板上で硬化し、絶縁体となることでバッテリー性能を著しく低下させる劣化現象です。

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電圧低下による始動不能

たとえバッテリーが使用期限内であっても、使用頻度や保管状況によっては電圧が低下し、非常用発電機が始動できなくなることがあります。 弊社では現地調査の際に必ず電圧測定を行い、安全に使用可能かどうかを慎重に判断したうえで、負荷試験を実施しています。

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サルフェーションの進行を確認 

今回のバッテリーも交換期限を過ぎたまま長期間放置されていました。 その結果、充放電のたびに一時的に発生する硫酸鉛が硬く結晶化し、電極板に固着していました。サルフェーションが発生すると電圧はあるのにセルが回らない原因などになり始動不能に陥る可能性があります。

通常、このような症状が一つでも確認された場合、速やかなバッテリー交換が必要です。 このままでは、地震や災害などの非常時に非常用発電機が正常に作動せず、極めて危険な状態となります。

しかし、この現場では長期間にわたり適切な対応が行われていませんでした。 万が一災害が発生した場合、非常用発電機が動作しなければ、スプリンクラー・防火シャッター・非常照明など、避難に必要な電力を確保できず、人命に関わる重大な事故につながる恐れがあります。

バッテリーは非常用発電機の「心臓部」ともいえる重要な部品です。 安全な施設運営のためには、定期的な点検と適切な時期での交換が欠かせません。

よくあるご質問

Q:非常用発電機は、普段使っていなくても点検や交換は必要ですか? 

A:はい、必要です。非常用発電機は使用頻度が低いからこそ劣化に気づきにくく、バッテリーや充電装置の不具合が進行しやすい設備です。定期的な点検と試運転を行うことで、非常時に確実に稼働する状態を維持できます。

Q:バッテリーはどのくらいの頻度で交換すればよいですか? 

A:メーカー推奨では「製造から3~5年」が交換の目安です。設置環境や使用状況によっては、使用期限内でも性能が低下する場合があるため、年1回以上の点検をおすすめしています。

Q:負荷試験は必ず実施しなければいけませんか?

 A:はい。無負荷運転だけでは、実際に災害時の電力供給が可能かどうかは判断できません。負荷試験を行うことで、発電機・制御装置・バッテリーが一体として正常に機能するかを確認できます。

Q:古い機種やメーカーサポート終了品でも対応できますか?

 A:可能です。弊社ではメーカーや年式にとらわれず、現場状況を確認したうえで最適な対応をご提案しています。他社で対応不可とされた設備でも、ぜひ一度ご相談ください。

ICESにぜひお気軽にご相談ください

株式会社ICESは、非常用発電機のメンテナンス・修理・負荷試験に特化した専門会社です。

非常用発電機を熟知した技術者による点検・診断 ・専用負荷装置を用いた確実な負荷試験 ・不具合の早期発見と、将来を見据えたご提案をさせていただきます。

負荷試験についても多数の実績があり、「試験が難しい」「他社で断られた」といった現場でも対応してきました。

非常用発電機は、万が一の時に「確実に動くこと」が何より重要です。 そのための点検・整備・負荷試験は、ぜひ非常用発電機専門のICESにお任せください。

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